10年ほど前から3年間の間、じつは不眠症に悩み、随分いろいろな睡眠導入剤を試した時期があった。

正直に言うと、かなりの量を飲んでいた。ちょっと危険だったかもしれない。

その他は不摂生だったわけではないけど、別の疾患でその後3年ほど入院する羽目になった。落ち込んだ。働き盛りの30代の、思わぬどん底だった。

当然、僕にはたくさんの睡眠導入剤が必要だったが、主治医のA先生は一切処方をしてくれなかった。苦しんだ僕は薬をくれるよう頼んだが、先生は不思議そうな顔をして

「寝れないことのどこが困るのですか?」

と尋ねた。絶句した。僕には答えが思いつかなかったからだ。

「ここは病院です、眠くなるまでずっと起きてればいいです」「眠くなったら寝てください、以上です」

僕はこうして睡眠導入剤の誘惑を断ち切った。

A先生の朴訥な温かさ、お人柄にいまも敬意を抱いている。名古屋市立大学病院の看護師さんはじめすべてのスタッフの皆様にも感謝を伝えたい。

思ったよりも人は強い。たくさんの苦難に耐えられる。そういうのをたくさん経験したし、見聞きしてきた。

ところが、一方で人は、なぜこんな簡単なところで、、、というような、信じがたい崩れ方、弱さを見せたりもする。

その差はなんであるのかというのが、少しずつわかるようになってきた。今後も学びを深めつつ、生きる指針としたい。

昨日はスッキリ眠れたが、今日は眠れない日らしい。しょうがない。眠くなるまで起きてよう。朝日が昇るのと競争でもしよう(笑)。