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知求塾あかさたな作文「や」 「矢は一本しかない」

2024年8月3日 | chikyujyuku

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徒然草に出てくる矢の話が好きです。

 

ある人、弓射ることを習ふに、諸矢をたばさみて、的に向かふ。師のいはく、

「初心の人、二つの矢を持つことなかれ。後の矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり。毎度、ただ、得矢なく、この一矢に定むべしと思へ。」

と言ふ。わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろかにせんと思はんや。懈怠の心、みずから知らずといへども、師、これを知る。この戒め、万事にわたるべし。

 

現代訳はこちら

 

ある人が、弓を射ることを習うのに、二本の矢を手にはさんで持って、的に向かいます。師匠が言うことには、
「初心者は、二本の矢を持って(的に向かって)はいけません。あと(二本目)の矢をあてにして、最初の弓をいい加減にする気持ちがあるからです。(矢を射る)毎回、ただ、当たる当たらない(と考える)のではなく、この一本の矢で決めよう(射抜こう)と思いなさい。」

と言います。たった二本の矢を、(しかも)師匠の前で(射るのですから)その一本をおろそかにしようと思うでしょうか、いや思わないでしょう。(しかし)怠けようとする心は、自分では認識していなくても、師匠は、これをわかっています。この戒めは、あらゆることに通じるでしょう。

 

もうこの文章に付け加えることもなければ、削る部分もない。

覚えやすいし、教訓もある。

兼好法師という人の知性を思う存分味わうことができます。感謝。

 

 

 

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