――学習をひとつのエコシステムとして考える
サッカー日本代表の成長には、長い時間をかけた土台づくりがありました。
Jリーグができる。
地域にクラブができる。
よい指導者が育つ。
子どもたちがプロ選手を身近に見る。
海外に挑戦する選手が増える。
サッカーを見る文化が広がる。
そうした一つひとつの積み上げがあって、今の日本代表があります。
また、アニメ、マンガ、ゲーム、音楽、スポーツなど、日本が世界で存在感を持つ分野にも、共通しているものがあります。
それは、仕組みです。
才能のある人がいる。
熱意のある人がいる。
努力する人がいる。
もちろん、それはとても大切です。
しかし、才能や熱意や努力だけで、長く成果を出し続けることは簡単ではありません。
才能を伸ばす場所がある。
挑戦できる道がある。
応援する人がいる。
失敗しても続けられる環境がある。
努力の方向を教えてくれる人がいる。
こうした仕組みがあるからこそ、人は大きく育っていきます。
では、勉強はどうでしょうか。
勉強も、まったく同じだと思います。
成績は、根性だけで伸びるものではありません。
もちろん、努力は必要です。
努力なしに成績が上がることは、ほとんどありません。
でも、ただ「頑張れ」と言うだけでは、足りません。
「もっと頑張りなさい」
「集中しなさい」
「ちゃんと勉強しなさい」
こうした言葉は、よく使われます。
もちろん、言いたくなる気持ちはよくわかります。
しかし、子どもたちからすると、
「何を、いつ、どこで、どう頑張ればいいのか」
が見えていないことも多いのです。
頑張る気持ちはある。
でも、時間の使い方がわからない。
机に向かっても、何から始めればいいかわからない。
わからない問題があっても、質問の仕方がわからない。
直しをしているつもりでも、答えを写して終わってしまう。
家ではついスマホやゲームが気になってしまう。
こういうことは、珍しくありません。
だからこそ、学習にも仕組みが必要です。
まず大切なのは、時間の確保です。
一日は24時間あります。
しかし、睡眠の時間を除くと、実際に使える時間はかなり限られています。
仮に、睡眠を8時間とすると、起きている時間は16時間です。
16時間は、分に直すと960分です。
この960分をどう使うか。
ここに、学習の大きなヒントがあります。
960分の1%は、約10分です。
つまり、一日のたった1%を変えるだけで、約10分の時間が生まれます。
10分と聞くと、短く感じるかもしれません。
でも、10分あれば、英単語を確認できます。
計算問題を数問解けます。
学校のワークを少し進められます。
昨日間違えた問題をもう一度見ることができます。
もちろん、10分だけで何もかもが変わるわけではありません。
けれど、10分を毎日積み重ねると、1週間で70分です。
1か月なら、およそ300分です。
5時間です。
一日の1%が、1か月で大きな差になります。
「勉強時間がない」と感じるとき、まず考えたいのは、
一日の中の1%をどこに作るか、ということです。
次に大切なのは、環境です。
家で集中できる子もいます。
それは、とてもすばらしいことです。
一方で、家ではなかなか集中できない子もいます。
テレビがある。
スマホがある。
ゲームがある。
家族の声が聞こえる。
つい休憩が長くなる。
気づいたら時間が過ぎている。
これも、よくあることです。
その場合は、意志の弱さだけを責めても、あまりうまくいきません。
環境を変えることが大切です。
塾の自習スペースを使う。
先生の目がある場所で勉強する。
友だちも勉強している場所に身を置く。
スマホから離れる。
教材を広げやすい場所を作る。
集中できる環境に入ることで、勉強はずっと始めやすくなります。
三つ目に大切なのは、質問する力です。
勉強が苦手な子の中には、質問が苦手な子がたくさんいます。
「どこがわからないのかわからない」
「こんなことを聞いていいのかな」
「先生に聞くのが少し恥ずかしい」
「質問する前に、何を言えばいいかわからない」
こういう気持ちは、よくわかります。
でも、質問は技術です。
生まれつき上手な子だけができるものではありません。
練習すれば、少しずつ上手になります。
たとえば、
「ここまではわかりました」
「この式の意味がわかりません」
「なぜこの答えになるのかがわかりません」
「解説のこの行から先がわかりません」
このように言えるだけで、質問はかなり上手になります。
わからないことを言葉にする力は、学習においてとても重要です。
四つ目に大切なのは、直しです。
知求塾では、直しをとても大切にしています。
問題を解く。
丸つけをする。
間違える。
答えを見る。
赤で書く。
ここで終わってしまうと、成績はなかなか上がりません。
大切なのは、
「なぜ間違えたのか」
「次に同じ問題が出たらどうするのか」
を考えることです。
うっかりミスなのか。
練習不足なのか。
意味がわかっていないのか。
この区別をするだけで、次にやることが変わります。
うっかりミスなら、見直しの方法を変える。
練習不足なら、同じ種類の問題をもう少し解く。
意味がわかっていないなら、先生に質問する。
直しは、点数を上げるための宝の山です。
勉強は、ただ問題をたくさん解けばいいわけではありません。
間違えた問題をどう扱うかで、伸び方が変わります。
時間。
環境。
質問。
直し。
先生からのアドバイス。
塾の授業。
自習スペース。
家庭での生活リズム。
これらは、ばらばらに存在しているわけではありません。
全部つながっています。
ひとつのエコシステムとして考えることが大切です。
エコシステムとは、いろいろなものが関係し合って、全体として成り立っている仕組みのことです。
学習も同じです。
時間があるから、勉強を始められる。
環境が整うから、集中できる。
質問できるから、わからないところが減る。
直しをするから、次にできる問題が増える。
先生のアドバイスを受けるから、努力の方向が整う。
努力の方向が整うから、成果につながる。
この流れができると、勉強は変わります。
成績を上げるために必要なのは、
「とにかく頑張る」
だけではありません。
頑張りやすい仕組みを作ることです。
根性を否定しているわけではありません。
最後に踏ん張る力は、もちろん大切です。
でも、毎日毎日、根性だけで走り続けるのは大変です。
だからこそ、仕組みを作る。
時間を確保する。
環境を整える。
質問する。
直す。
アドバイスを受ける。
また試す。
この一つひとつが、学習の土台になります。
サッカー日本代表が、長い時間をかけた土台づくりの上で世界と戦っているように、
勉強にも、日々の土台づくりが必要です。
知求塾は、ただ「頑張れ」と言う場所ではなく、
子どもたちが頑張りやすくなる仕組みを一緒に作る場所でありたいと思っています。
くまきちのひとこと。
「がんばる前に、がんばりやすい仕組みを作るんだね!」
姿勢よく。
文字よく。
直しよく。
そして、自分の時間と環境を上手に使っていきましょう。
今週も、一人ひとりの学習の土台づくりを大切にしながら、
知求塾は前に進んでいきたいと思います。

