ウィンブルドンを見ながら、夜型だった自分を思い出した
自宅のパソコンで、ウィンブルドンを見ていました。
ワールドカップ前、日本対ブラジル戦の前だったと思います。NHKでウィンブルドンが放送されていて、何となく見始めました。
すると、不思議なもので、昔のことを思い出しました。
僕は高校生のころ、ウィンブルドンを見ながら試験勉強をするのが好きでした。
ちょうどウィンブルドンの時期は、学校の期末試験の時期と重なります。だから、夜中にテレビをつけて、テニスを見ながら、一夜漬けで試験勉強をしていました。
今考えると、かなり無茶な勉強法です。
夜中じゅう起きて、そのまま試験に行く。
ほとんど寝ていない状態で、朝から試験を受ける。
今なら絶対におすすめしません。
というより、塾の先生としては、むしろ止めると思います。
でも、当時の自分にとっては、それが普通でした。
夜中にテレビをつける。
ウィンブルドンの芝のコートが映る。
外国の選手たちが、深夜の画面の向こうで戦っている。
その横で、僕は教科書やノートを開いている。
テレビを見ているのか、勉強しているのか、よく分からない状態です。
ただ、それでも、当時の僕にとっては、その時間がけっこう好きでした。
静かな夜。
家族が寝静まったあと。
テレビの音と、ノートに文字を書く音。
「明日の試験、何とかしなきゃな」と思いながら、ギリギリになって知識を詰め込んでいく。
効率がよかったとは言えません。
でも、あのころの自分にとって、ウィンブルドンと期末試験は、どこかセットになっていました。
思えば、僕はかなりの夜型人間でした。
漫画家の先生のように、夜になってから元気になるタイプです。昼間よりも、夕方から夜、そして深夜にかけて頭が冴えてくる。そういう生活が、自分には合っていると思っていました。
そして、その夜型生活は、かなり長く続きました。
高校生のころだけではありません。
大学生のころも、社会人になってからも、ずっと夜型でした。
45歳くらいまでは、自分は夜型の人間なのだと思っていました。
ところが、今はすっかり朝型の人間になっています。
朝起きた直後から仕事に打ち込んでいます。
笑ってしまうくらい、朝から仕事をしています。
以前の自分では、ちょっと考えられないことです。
いまは、いちばん判断力が必要な仕事は、だいたい14時までにほとんど終わっています。僕の感覚では、その14時は、一般の人の10時くらいに相当します。
朝から一気に仕事を進める。
頭を使う仕事は、早い時間に終わらせる。
午後から夜にかけては、人と会う仕事、授業、教室運営に力を使う。
そんな生活になりました。
人間は変わるものだな、と思います。
「自分はこういう人間だ」と思っていても、ずっとそのままとは限りません。
変わらなければいけなくて、変わるときもあります。
自然と、少しずつ変わっていくときもあります。
気がついたら、昔の自分とはまったく違う生活をしていることもあります。
僕自身の人生も、そうでした。
若いころは、自分なりに必死に勉強して、金沢大学というところに進学しました。決して天才的なタイプではありませんでしたが、それなりに努力はしたと思います。
ところが、その大学を中退しました。
そこからは、ずいぶん迷いました。
うまくいかないことも多かったです。
思い通りにならないことも多かったです。
「自分は何をしているのだろう」と思うこともありました。
フリーターをしたり、介護士の仕事をしたりしました。
その後、塾講師という仕事にたどり着きました。
今から振り返れば、その一つひとつに意味があったのだと思えます。
でも、その当時の自分は、そんなきれいなことを考えていたわけではありません。
ただ、目の前の生活がありました。
働かなければいけませんでした。
どうにかして、自分の居場所を見つけなければいけませんでした。
そして、気がついたら、塾という仕事の中で生きるようになっていました。
高校生のころ、ウィンブルドンを見ながら一夜漬けをしていた自分が、今では朝から仕事をして、子どもたちに学習の仕方を伝えています。
ずいぶん変わったものです。
でも、人間とは、そういうものなのかもしれません。
若いころの自分が、そのまま一生続くわけではありません。
今できないことが、ずっとできないわけでもありません。
今の生活リズムが、ずっと続くとも限りません。
人は変わります。
環境によって変わることもあります。
年齢によって変わることもあります。
出会いによって変わることもあります。
失敗によって変わることもあります。
だから、子どもたちにも、あまり早く自分を決めつけてほしくないと思っています。
「自分は朝が苦手だから」
「自分は勉強が苦手だから」
「自分は集中力がないから」
「自分はこういうタイプだから」
もちろん、今の自分の特徴を知ることは大切です。
でも、それを一生の結論にする必要はありません。
人は変われます。
僕自身、夜中にウィンブルドンを見ながら一夜漬けをしていた人間です。
それが今では、朝起きた直後から仕事に打ち込む人間になりました。
だから、子どもたちにも思います。
今の自分がすべてではありません。
これから先、いくらでも変わることができます。
変わらなければいけないときもあります。
自然と変わっていくときもあります。
大事なのは、その変化を恐れすぎないことです。
ウィンブルドンを見ながら、そんなことを考えていました。
昔の自分は、テレビの前で一夜漬けをしていました。
今の自分は、朝から仕事をしています。
人間は、本当に変わるものです。

