今年の高校入試で、少し驚くニュースがありました。
豊田南高校が定員割れ。
不足は29名です。
豊田南高校といえば、三河地区ではよく知られた普通科高校で、いわゆる中堅上位の進学校に位置します。合格者の内申点平均はおおよそ30~31程度。決して簡単な高校ではありません。さらに例年、70~100名ほどの国公立大学合格者を出すなど、進学実績もしっかりしている学校です。
そんな学校が定員割れする。
これは三河の教育事情を見ている人間にとって、なかなか衝撃的な出来事でした。
私は勝手にこの出来事を
「豊田南ショック」
と呼んでいます。
■ 三河の生徒がよく使う言葉「自称進学校」
豊田南高校は、三河の中学生の言葉で言うと、いわゆる「自称進学校」と呼ばれるタイプの学校です。
この言葉は決して悪口ではありません。三河の高校生が自分の学校を自虐的に表現するときによく使う言葉です。
「自称進学校」とは、ざっくり言うと
・課題が多い
・勉強をかなりやらされる
・進学実績はそこそこ
・でもトップ校ではない
というタイプの学校です。
つまり、
「真面目に勉強させる進学校」
ということでもあります。
豊田南高校はまさにこのタイプの学校でした。
■ 実は、このタイプの高校は定員割れしやすい
実は、こうしたタイプの高校が定員割れする現象は、尾張地区では以前から見られていました。
特に次のような条件の高校です。
・市街地からやや離れている
・そこそこ勉強させる
・トップ校ではない
こうした学校は、言い方を変えると
「ちょうどよく大変」
なのです。
トップ校のような強いブランドがあるわけではない。
しかし、勉強はそれなりに厳しい。
すると中学生にとっては
「そこまで頑張るなら別の選択肢でもいいのでは」
という心理が働きやすくなります。
尾張ではこうした理由で中堅公立高校が定員割れするケースが以前からありました。
しかし三河では、こうした現象はあまり見られませんでした。
■ 三河では起きにくかった理由
三河は、尾張とは少し違う教育文化を持っています。
この地域には
・トヨタ系企業
・堅実な家庭文化
・安定志向
といった特徴があります。
そのため長く、
「高校はとりあえず公立」
という文化がかなり強かったのです。
多少遠くても公立へ行く。
多少厳しくても公立へ行く。
こうした価値観があったため、豊田南のような学校が定員割れするとは、正直あまり想像されていませんでした。
■ 私立高校無償化の影響
今回の背景として考えられる大きな要因は、私立高校授業料の実質無償化です。
これによって、家庭の高校選びは大きく変わりました。
これまでの構図は
「公立第一志望」
でした。
しかし現在は
「公立か私立かを普通に比較する」
時代になっています。
すると次のような動きが起きます。
上位層
→ 刈谷・岡崎・豊田西などトップ校へ
中間層
→ 私立の特進コースへ
下位層
→ 専願私立へ
この結果、最も影響を受けるのが
中堅の公立高校
です。
実はこれは愛知県だけではなく、全国各地で起きている現象です。(あすにつづきます)

