知求塾

最強戦士の洞窟(後編)

2023年10月16日 | chikyujyuku

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*今日の記事は昨日の記事の続きです。


 

たいそう温和な目つきで、老人は言った。

「誰が言ったのか知らんが、それは本当じゃよ。わしは一番の戦士だて」

「この前はちびで、今度はよぼよぼのじいさんか。あんたを殺したくはないんだがね」

「もしあんたがわしを殺すなら」と老人は言った

「それはあんたが戦士ではなくて、人殺しだということを証明するだけに終わるだろうて。わしにはあんたが、わしのようにジャングルで独りで暮らす勇気をもっているとは思えんのだがね」

「ふむ」と兵士は答えた。

「どうかの」と老人は付け加えた「一つわしの挑戦を受けて、ジャングルで丸1年暮らしてみては。その後もういっぺんわしに会いに来て、誰が一番の戦士か決めることにしたら」

兵士はこの挑戦を応じることにした。そして丸1年、ジャングルで暮らした。彼は偉大なハンターになった。彼は鷲から学んだ。ジャガーから学んだ。そして彼は、蜘蛛からも学んだ。

 

一年たって、兵士はその老人に会いに戻った。再度、老人は挑戦を突き付け、さらにもう一年とどまって、今度は狩りについて学んだすべてのテクニックを用いて、知識を狩ることにしてはどうかと言った。

「一年間知識を狩ったあとで、またわしに会いに来なされ。そうして誰が一番の戦士か決めることにしようぞ」

 

ハンターの、鷲のジャガーの、蜘蛛のテクニックを用いて、兵士は自然について、星について、動物や数学について、あらゆることを学んだ。彼は多くの知識を蓄えた。そして学べば学ぶほど、彼のエゴは大きなものになった。彼は独り言(ご)ちた。「疑いの余地はない。俺こそ一番なのだ」と。

 

次に老人に会ったとき、老人はさらにもう一年いて、自分自身を狩るという挑戦を受けてはどうかと聞いた。兵士はこれも受諾した。

 

彼は自分自身が持つあらゆる感情、あらゆる動き、あらゆる反応を狩り始めた。彼は自分を見、そして自分自身に向き合うようになった。彼は自分の信念体系と格闘した。彼はすべてを受け入れ、自分自身を愛し始めた。驚くべき変容が起き、自分を狩ってわずか3か月の短時間で、彼はその老人が自分の師であり、教師であり、本当の最良の戦士だと心底感じるようになった。

 

彼はその老人に強い愛を感じた。そして自分がかつて傷つけたすべての人たちに同情を感じるようになった。彼はその老人に会う日が待ちきれなくなり、洞窟に行って中の老人に呼び掛けた。

 

しかし、老人は出てこなかった。ためらいがちに、兵士は洞窟の中へと足を踏み入れた。そして彼がそこに見つけたのは、空っぽの肉体だけだった。老人はすでに死んでいた。

 

その時、兵士は決心した。この洞窟で暮らし、最良の戦士になろうと。

彼は今もそこにいる。そしてあなたの挑戦を待っている。

 


 

こういう話です。赤文字、太文字は坂口のオリジナルです。非常にとらえ方が難しい話です。僕にとってこの話は15年ほど前に初めて読み、??????となりました。この話もそうですが、ドンミゲルの本編の話もまったく意味が分かりませんでした。数年本を放置したこともあります。そしてまた、時々読む。

 

数年が経ち、ある時に何度目かの読み返しをしたとき「あ。。。。わかる。言ってることとのほんのひと切れだけど、わかる!!!!」となり、理解が進んできました。たぶん、一人の人間には「時間をかけてわからなければならないいくつかの話」というものがあるんだろう、、、と自分を納得させています。

 

とりあえず、「一番好きな短編のストーリー」でした。

 

 

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